【完全ガイド・続】Difyの変数使い方・注目のAI統合プラットフォームを解説

はじめに – Difyとは?変数機能の重要性

Difyの変数機能とは?何に使うのか

Difyは、ノーコードでAIチャットボットを構築できるプラットフォームです。その中でも「変数」機能は、ユーザーの入力や会話の文脈を保持し、より自然でパーソナライズされた対話を実現するための重要な要素です。この変数機能を使えばユーザーの名前や好みを記憶し、次回の会話で活用することも可能になる非常に便利な機能です。

ぜひこの機会に「変数」機能もマスターしてDifyを使いこなせるようになりましょう。

この記事で学べること・対象読者

本記事では、Difyの変数機能を活用したチャットボットの基本的な作成方法から、よくある失敗とその解決法までを解説します。

ノーコードでの開発を検討しているビジネス担当者や、Difyを使ったチャットボット開発に興味があるエンジニアの方に最適な内容になっています。


Difyの変数を使ったチャットボット作成【基本編】

変数を使うとどんな会話ができる?

Difyでは、変数を活用することで、ユーザーとの対話をより柔軟に設計できます。

以下は会社や個人チャットをAIチャットボットを駆使して使用する際の例です:

  • ユーザーの名前を記憶し、次回以降の会話で使用する 例:「こんにちは、{{name}}さん。今日はどのようなご用件でしょうか?」広報・PR支援の株式会社ガーオン+5Dify Docs+5YouTube+5
  • ユーザーの選択に応じて、次の質問や回答を変える 例:「ご希望のサービスを選択してください:{{service_option}}」
  • 会話の文脈を保持し、関連する情報を提供する 例:「前回のお問い合わせ内容は{{previous_issue}}でしたが、その後いかがでしょうか?」

これらの機能により、ユーザーにとってより親しみやすく、効率的なチャットボット体験を提供できカスタマーサポートの充実も容易にできます。

実際にチャットボットを作成

今回は変数を活用してパーソナライズされたチャットボットを作成していこうと思います。これを活用していけばパーソナライズされた説明が可能になり、研修や質疑などの応答がとても便利になります。

そう言った機能はチャットフローなどより高度な作成方法で可能になるのでそちらも解説した記事も出していくので参考にしてみてください。

STEP
変数の設定を行う

まずは前回と同じように「スタジオ」の基本的なアプリタイプからチャットボットを選択します。今回は個人に特化した旅行先、レジャー提案ボットを作成していきます。

STEP
ユーザー入力に応じて変数に値を格納する

この変数のところで追加を選択します。

変数の右側に鉛筆のようなアイコンがあるのでそこをクリックして下のように変数のタイプと名前を入力します。

基本は短文を選択して、ユーザーに選択肢の中から選んでもらいたいときは「選択」オプションを使うといいと思います。

わかりづらくならないために変数名とラベル名は基本同じにしておくことをお勧めします。

STEP
変数を使った応答を設計する

作成した変数を使用してプロンプトを作成する際は{{}}で変数を囲ったら使用できます。

STEP
動作確認とデバッグ

動作の処理は右側のデバッグとプレビューで行います。この時もLLMを使用するとお金がかかってしまうので試す回数をできるだけ少なくするか、無料の言語モデルを使用することをお勧めします。

ここまでできて公開したら変数を使ったチャットボットの完成です。いろいろなアイデアと合わせてチャットボットを作成してみてください。


補足:チャットフローの中で使える便利な機能

  • 「メモ」ブロックで変数の現在値を確認:開発中に確認したいときに便利。
  • 条件分岐(IF):変数の値に応じて次のステップを変更可能。
  • Webhookとの連携:変数の値を外部APIに送信し、応答を取得して次のステップに反映させることも可能です。

このように、Difyでは変数を中心に会話設計することで、柔軟でパーソナライズされたチャット体験を簡単に実現できます。他の記事では、他のAIツールと比較したDifyの強みを解説しているのでぜひ業務効率化のために参考にしてみてください。

よくある失敗・つまずきポイントと解決法

変数が反映されないときの対処法

  • 変数名のスペルミス:変数名が一致しているか確認しましょう。
  • 変数のスコープ:プログラミング経験のない人には馴染みがないかもしれませんが変数は定義された範囲内(スコープ)でしか使用できないので、スコープの確認をお勧めします。下でスコープについても説明しているのでよかったら参照してください。
  • 初期値の設定:変数に初期値が設定されていない場合、予期しない動作をすることがあります。初期値の設定についても説明しているのでよかったらみてみてください

変数のスコープとリセットの仕組みを理解する

Difyでは、変数のスコープ(有効範囲)を適切に設定することが重要です。例えば、会話全体で使用する変数はグローバルスコープに設定し、一時的な情報はローカルスコープに設定します。また、必要に応じて変数をリセットすることで、前回の会話の影響を受けずに新たな対話を開始できます

複雑なフロー設計時の変数管理のコツ

複雑なチャットフローを設計する際、変数の管理が煩雑になることがあります。以下のポイントを参考にしてください:

  • 変数名の命名規則を統一する:例えば、ユーザー関連の変数は「user_」で始めるなど。
  • 変数の使用箇所をドキュメント化する:どの変数がどこで使用されているかを明確にします。
  • 不要になった変数は適切に削除する:メモリの無駄遣いを防ぎます。note(ノート)

これらの管理を徹底することで、チャットボットの保守性と拡張性を高めることができ、より楽に作成できるようになります。

ワークフローなどの上級者向けのアプリ制作についても今後わかりやすく説明していくので楽しみにしていてください!


Difyの変数機能を活かした活用アイデア3選

顧客サポート用チャットボットでの活用例

Difyの変数機能は、カスタマーサポート分野で特に威力を発揮します。たとえば以下のような活用が可能です:

  • ユーザーの問い合わせ履歴を保持 変数に過去の問い合わせ内容(例: last_issue)を保存し、「前回の件は解決しましたか?」とフォローアップできる。
  • 個別の対応内容をパーソナライズ 名前、購入商品、問い合わせ内容などを変数で保持し、「○○様、お買い上げいただいた商品についてのお問い合わせですね?」と自然な会話が可能。
  • 待機時間の案内や対応状況の管理 変数で「問い合わせ件数」や「対応ステータス」を管理し、リアルタイムで「現在の対応状況は○○です」と案内。

こうした変数管理により、顧客一人ひとりに寄り添ったサポートが実現できます。


商品紹介・パーソナライズ対応の導入例

Difyの変数を使えば、ECサイトやサービス紹介で「個別提案型チャット」を簡単に作れます。例えば:

  • ユーザーの興味・属性に合わせた商品レコメンド 質問フローで得た「興味カテゴリ」「年齢層」「予算」などを変数で保持し、それに基づく商品を提案。
  • 特別オファーの表示 「初回利用者」「リピーター」「会員ランク」などの属性を変数に保持し、条件に応じたクーポンやキャンペーン情報を案内。
  • 在庫状況や配送予定日の案内 「選択した商品」「配送先住所」などの変数を組み合わせ、リアルタイムで「この商品は明日発送可能です」などの情報提供。

これにより、ユーザー体験を大幅に向上させられます。


社内業務フロー自動化への応用

Difyの変数機能は、社内業務の効率化にも活用可能です。例えば:

  • 社内申請のステータス管理 申請内容や進捗状況を変数で保持し、「申請番号:{{request_id}} の進捗は現在、承認待ちです」などと自動応答。
  • 定型業務の代行チャット 「経費申請」「出張手配」「備品発注」など、必要な情報(例: 日付、金額、担当者)を変数に格納し、チャット上で手続き完了まで進める。
  • 社内Q&Aボット 部署別の担当者名や内線番号、マニュアルリンクなどを変数で管理し、「人事部の連絡先は○○です」と即答できる。

これらの使い方は、特にバックオフィス業務の省力化やミス削減に役立ちます。


Difyと他AIツールとの違い・強みとは?

ChatGPT・Rasa・LINE Botなどとの違い

ChatGPT(OpenAI)
ChatGPTは汎用的なチャットAIであり、プログラミングや文章生成に強みがありますが、業務向けのワークフロー構築やGUIベースのカスタマイズ機能は限定的です。Difyは、ChatGPTのようなLLMをベースにしつつ、変数管理やユーザー入力の誘導など、業務シナリオに特化したUIと構造を提供しています。

Rasa
Rasaはオープンソースで柔軟性が高い一方、導入や開発に高度な技術知識(Python・NLUモデル調整など)が必要です。DifyはGUI中心でノーコード開発が可能で、専門知識がなくても簡単にAIアプリが構築可能です。

LINE Bot
LINE Botはチャットボットの開発に特化しており、UIの自由度はありますが、LLMとの組み合わせや業務フロー設計には別途開発が必要です。Difyは、LINE連携も可能でありながら、シナリオ設計・変数管理・ファイル処理などもワンストップで実装できます。


ノーコードでここまでできる!Difyの特徴

  • チャットUI・フォームUIの両対応
    チャット形式だけでなく、フォーム型での情報入力・業務手続きも可能。現場の操作性に配慮した作りができる。
  • 変数の動的管理
    入力値を変数に格納し、処理の中で再利用可能。「名前」「日付」「目的」などを使った動的な文生成や分岐制御が簡単。
  • ドキュメントアップロード対応
    PDFやWordなどをアップロードしてAIの知識として活用可能。社内マニュアルやFAQを読み込ませたチャットボットが作れる。
  • Webデプロイ・埋め込みも簡単
    作成したアプリはワンクリックでWeb公開。iframeで社内ポータルに埋め込みも可能。

拡張性・API連携・商用利用の可否

  • API連携の自由度が高い
    外部APIとの連携が可能。REST APIを呼び出す機能があり、社内システム(勤怠・在庫・CRMなど)とも接続できる。
  • Webフローとの組み合わせ
    ZapierやMake、Slackなどのツールとも統合可能。Difyをトリガーにした自動化が構築できる。
  • 商用利用OK・ホスティング自由
    DifyはMITライセンスのオープンソースで、商用利用も可能。自社サーバーでのオンプレミス運用や、クラウドへのデプロイも選択できる。
  • ユーザー管理機能あり
    ロール管理やアクセス制限機能も備えており、社内チームでの共同開発・利用にも対応

よくある質問(FAQ)

Difyの変数はどこまでカスタマイズできる?

Difyの変数機能は柔軟性が高く、以下のようなカスタマイズが可能です:

  • 自由な変数名の設定{{user_name}}, {{request_id}}, {{date}} など、任意の名前で変数を定義可能。
  • ユーザー入力の格納:チャットやフォームからの入力を変数に自動格納し、後続の処理や応答に利用できます。
  • 条件分岐・表示制御:特定の変数値に応じて異なる応答を返すなど、if文的な挙動も実現可能(例:「金額が1万円以上なら上長承認が必要」といった制御)。
  • 変数の再利用:複数のステップ間で変数を再利用し、文脈を保ったやりとりが可能(例:「{{employee_name}}さんの休暇申請を確認しました」)。
  • 外部APIとの連携での更新:外部システムから取得した値(例:ステータス、在庫数)を変数として受け取り、動的に応答を生成することもできます。

これにより、定型業務から複雑な業務フローまで、柔軟に自動化できます。

日本語対応やマルチリンガル設定は可能?

はい、Difyは日本語を含む多言語対応が可能です。以下のような形で活用できます:

  • UIの多言語対応:チャットUIやフォームUIに表示されるテキストは自由に編集できるため、日本語環境に完全対応可能。
  • LLM側の多言語能力活用:Difyが接続するChatGPT(GPT-4など)は多言語対応しており、日本語での自然な応答も実現可能。
  • ユーザーの言語選択による切り替え:初期入力で「言語を選択してください」と選ばせることで、後続の応答や処理内容を動的に言語切り替えすることも可能(例:{{language}}変数に基づく応答テンプレートの分岐)。

例:
ユーザーが「English」を選べば、以降は英語で処理。日本語を選べば日本語で進行といった形が簡単に実現できます。


次のステップ

すぐに使える変数テンプレート例

Difyでの業務自動化を始めるうえで、すぐに活用できる変数テンプレートをいくつか紹介します:

用途変数名説明例
社内申請管理{{request_id}}申請ごとのユニークID
担当者通知{{employee_name}}, {{department}}申請者の名前と所属部署
日程調整{{date}}, {{time}}希望日時の入力
商品レコメンド{{user_interest}}, {{recommended_product}}ユーザーの関心とそれに対応した商品名
問い合わせ対応{{inquiry_type}}, {{status}}問い合わせ種別や現在の対応ステータス

これらはチャット内でそのまま挿入して使えます。変数は自由に増やすことができるため、業務やユースケースに応じて柔軟にカスタマイズしてください。


公式ドキュメントと学習リソースまとめ

Difyの理解と活用を深めるために、以下の公式リソースや学習資料を活用することをおすすめします:

GitHub リポジトリ(ソースコード・issue対応)

  • 日本語での情報発信
    QiitaやZennなどで「Dify」タグで検索すると、日本語の導入記事や使い方解説も見つかります。
  • YouTubeチュートリアル
    実際の画面を見ながら学べる動画がいくつか公開されており、ノーコードでの開発ステップを視覚的に理解できます。
  • 公式ドキュメント(英語)

    インストール方法、変数の使い方、API連携手順などを網羅。

チャットボット改善に役立つツールやTips

より高精度で使いやすいチャットボットを構築するためのコツや補助ツールを以下にまとめます:

ツール編:

  • Prompt engineering支援:
    • PromptHero – 効果的なプロンプト例の収集
    • FlowiseAI – LLMベースのワークフローをノーコードで設計可能
  • 入力チェック&デバッグ支援:
    • Postman / Insomnia – APIのテストやDifyとの連携チェックに便利
  • 日本語校正・表現改善:
    • 文賢、Grammarly(日本語ベータ)などで自然な言い回しをチェック

Tips編:

  • 変数の初期値設定で混乱を防ぐ
    未入力時に「未指定」と表示させたり、選択肢を用意することで入力ミスや問い合わせを減らせます。
  • 業務フローに合わせた対話設計を意識
    業務プロセスをベースにチャットの「ステップ」を構成すると、ユーザーの離脱が減ります。
  • ユーザーの入力履歴に基づく応答強化
    ユーザー情報をセッション内で保持して、「前回の申請は○○でしたね」といった再利用も可能。

まとめ・次の記事で学ぶこと

Difyの変数機能を学んでみて、改めて「ノーコードでここまで柔軟なチャットボットが作れるのはすごい!」と感じました。変数を使いこなすことで、よりパーソナライズされたユーザー体験を提供できるし、ビジネスでもかなり活用できそうです。

ただ、変数の管理やスコープの理解には少し慣れが必要なので、今後は実際のチャットボット作成を通じて、変数の使い方をより実践的に学んでいきたいです。

次回は、チャットフローの作り方や条件分岐の活用方法についてまとめていこうと思います。さらにDifyの他の便利な機能や、他のAIツールとの比較記事も作っていく予定なので、ぜひ楽しみにしていてください!